- 「20代未経験で介護職への転職はできるのか?」
- 「転職をするときに資格は必要なのか?」
- 「介護の仕事に興味があるけど、自分に向いているかどうか知りたい」
こんな疑問に答えていきます。
現在介護業界は人手不足のため、20代未経験で資格がない方でも受け入れてくれる会社はたくさんあります。
そのうえで、介護職のメリットや注意点、キャリアパスなどを把握しておくことで、納得のいく転職ができるようになります。
転職を成功させるポイントもまとめていますので、是非参考にしてください。
20代未経験で介護職への転職は可能
20代未経験で介護職への転職は可能です。
介護業界は高齢者の増加と労働人口の減少により人手不足が続いていくからです。
厚生労働省によると、2020年介護職の有効求人倍率は3.9倍となっています。(参考:厚生労働省 職業別一般職業紹介状況[実数](常用(含パート))(令和4年6月分))
つまり、1人の求職者に対して募集している求人が約4件あるという計算です。全職種の平均は1.13倍ですので、約4倍の差があります。
求人数が多いことで、採用の確率が高まったり、求人の比較をすることができます。
そのため、20代未経験で資格がなくても転職がしやすい業界といえるでしょう。
介護は3Kと言われる大変な職種
介護業界は世間から3Kや4Kといわれています。3Kとは以下の3つの頭文字をとったものです。
- 1.(肉体的・精神的に)きつい
- 2.臭い・汚い
- 3.危険
- (4.給料が安い)
4Kでは、上記3つの要素に「給料が安い」ことが加わります。
ここからは、4Kの内容を詳しく見ていきましょう。
肉体的・精神的にきつい
介護の仕事では、重度な肉体労働や精神的にきついことがあります。
肉体的にきついと感じるものとして、以下のようなケースがあります。
- 体の大きな人や麻痺がある方の介助をしたり、寝たきりの人を移乗させるときに腰に負担がかかる
- 介護職員が少ない場合は、業務量が多くなりキャパオーバーすることがある
精神的にきついと感じるシーンは次のようなものです。
- 介護していた方が急死する(家族から亡くなったという連絡が入る)
- 認知症がある場合、コミュニケーションがうまく取れず、暴言や暴力を受けることがあり、それに耐えないといけないこと
- ご利用者の家族からのクレームをうけること
臭い・汚い
介護をするときに代表的なものとして、食事介助や排せつ介助、おむつ交換などがあります。
食事介助では、身体に麻痺がある影響で口が開いてしまいよだれが出たり、食べこぼしをする人がいます。
また、排せつ介助やおむつ交換では、排泄物のにおいがきつかったり、局部を拭いたりしないといけなかったりします。
介護をする以上避けて通れない仕事なので、匂いなどが苦手な方はきついと感じるでしょう。
危険
介護施設は、様々な面で危険(リスク)があります。
例えば、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染症へのリスクがあります。介護士と利用者が長時間室内で過ごしているためです。
高齢者の方は免疫が低下しているため感染症が施設内で拡大し、介護職員にも感染してしまうことがあります。
また、利用者の排せつ物や嘔吐処理をする際にウイルス感染するリスクも考えられます。
利用者側では、移動時やお風呂場での転倒や、寝たきりの人が床ずれ(褥瘡)を起こしてしまう可能性があるため、注意が必要です。
給料が安い
介護職は大変な仕事が多いですが、全業界の中では給与が低い部類に含まれています。
厚生労働省によると介護職の平均給与は315850円となっています。しかし、全産業の平均給与と比較すると約7万円低いという状況です。
現在、介護職員の処遇改善は進んできていますが、それでも仕事に対して割に合っていないという意見があるのも事実です。
20代で介護職に転職するメリット
ここからは、20代で介護職に転職するメリットをご紹介します。
柔軟に対応ができる
20代前半の方は社会人経験が少ないため、過去の経験や考えに縛られることが少ないです。そのため、仕事を素直に覚えていくことができます。
20代後半で未経験の方であれば、多くの業界は採用することに抵抗があります。しかし介護のような人手不足の業界では、20代後半でも積極的に採用している企業は少なくありません。
未経験であっても素直さや明るさがあれば企業側としても採用したいと考えています。その後は育成してもらえるので、20代でも転職しやすい業界だといえるでしょう。
資格を取得しやすい
介護業界は若手であればあるほど資格が取得しやすい環境です。それは、ほかの業界と比較して資格の合格率が高いからです。
例えば、介護業界の入門として「介護初任者研修」という資格がありますが、これは合格率が9割となっています。国家資格である「介護福祉士」でも合格率は50~60%です。
しかし実務者研修や介護福祉士といった資格は、実務経験や研修時間が必要になります。
こういった時間を確保していくためにも、20代のうちからキャリアを積むことができると資格取得がしやすくなります。
給料アップが期待できる
20代前半から資格取得に取り組んだり、現場での経験を積んでいくと給与アップにつなげられます。
- 無資格者:271,260円
- 介護初任者研修:300,510円
- 実務者検収:307,330円
- 介護福祉士:328,720円
- ケアマネージャー:362,290円
出典:【厚生労働省】令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果
こちらは資格別の月収比較です。無資格とケアマネージャーを比較すると最大で約10万円の差が出ていることが分かります。
また、夜勤のある職場では、夜勤手当が発生します。夜勤1回につき4000~7000円の手当てがあるので、これを利用して給与アップをする方法もあります。
そして、最新の施策として2022年2月から介護職などの賃上げ9000円政策が始まっています。これは、介護職員処遇改善加算のⅠ~Ⅲのいずれかを取得している事業所を対象に、介護職員1人当たり月額9000円が支給される制度です。(参照:処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算の概要)
そのため、給与アップが今後も期待できるといえます。
キャリアアップしやすい
介護業界は、ほかの業界と比べてキャリアアップがしやすいです。それは国がキャリアパス制度を明確に定めているためです。
そのため、ほかの業界と比べて、キャリアアップのためにやることや目標が明確になり、モチベーションにつながります。
未経験からでも、実務経験と資格を取得していくことで、ゆくゆくは施設長や現場のマネジメントなどの役職に就くことができます。
明確なキャリアパスがあることで、未経験からでも挑戦しやすい業界だといえるでしょう。
介護職に向いている人・向いていない人
ここでは、介護職に向いている人・向いていない人の特徴を解説していきます。
介護職に向いている人
介護職に向いている人の特徴は2つあります。
協調性がある人
協調性がある人は、介護職として活躍できる可能性が高いです。
介護職はチームワークが非常に重要な仕事です。介護現場のメンバーだけでなく、送迎をするドライバーやケアマネージャー、ご利用者の家族など様々な人が関わっているからです。
またシフトの関係上、施設長がいない場合があり、その時は自分自身が率先して行動することも求められます。
周りと協力して仕事をしていく姿勢が重要です。
気配りができる人
ご利用者に対して気配りができる人は、介護職に向いています。
介護職は高齢者と接することがほとんどです。そのため、ご利用者の気持ちを尊重したうえで介護ができる人は重宝されます。
また、認知症の方は要介護度が高くなるほど、言葉を発することが難しかったり、スムーズに体を動かすことができなくなります。そのようなときに、相手のペースに合わせて気配りができると、ご利用者は非常に満足してくれます。
気配りができる人は介護職として活躍していけるでしょう。
介護職に向いていない人
介護職に向いていない人の特徴は3つです。
1つずつ見ていきましょう。
潔癖症な人
潔癖症の人は、介護現場で仕事をするのは難しいでしょう。
介護の仕事は3Kと言われるように、食事介助や入浴介助、排せつ介助といったことから避けて通ることはできません。
例えば、排せつ介助をする際に直接触るということに抵抗があるだけではなく、排せつ物のにおいに対して敏感な方は気持ち悪くなってしまって体調を崩してしまう可能性もあります。
こういった潔癖症の方は介護職に向いていないといえます。
自分のやり方にこだわりがありすぎる人
介護は1人ではなく複数人で連携して行うものです。
そのため、自分のやり方・スタイルにこだわりがありすぎると、メンバーとの連携がうまくいかないケースがあります。
例えば、介護初任者研修や実務者研修で習ったことを実践したとしても、実際の現場では研修と異なる方法を取り入れていることがあります。
介護はご利用者の状況によって、最適な方法が変化するからです。(ルールから逸脱しているわけではありませんので、ここは誤解が無いように説明していきます)
あくまで大切なのは、その状況に応じた適切な対応が取れることです。
柔軟性が持てない人は介護現場で苦労するため、向いていないといえます。
忍耐力がない人
介護職は、ご利用者から暴言や暴力を受けたり、ご利用者同士が喧嘩しているときに冷静になって対応しないといけません。
かなり精神的にきつい場面ですが、そこで穏やかに対応していくのが介護職の役割です。しかし、精神的なタフさだけでなく、体力的にも負担が大きい仕事です
例えば、体の大きな人が寝たきりになっていて、その状態から車いすに移譲させるときは、かなり腰に負担がかかります。
また人手不足の施設だと、対応しないといけないご利用者の数が多いため、どうしても業務量が増えてしまいます。
こういったハードな仕事に耐えられる自信がない人は、介護職はおすすめできません。
介護職への転職を成功させるためのポイント
介護職は未経験でも需要が高いため、転職のチャンスが大きい業界です。
しかし転職をするとなれば、しっかりとした準備や対策をしていく必要があります。転職を成功させるためには、自己分析や企業の情報を集めていくことが大切です。
ここでは、納得した転職をするために重要な3つのポイントをお伝えします。
自己分析をして、転職の軸を定める
まずは自己分析をして転職の軸を定めていくことが大切です。
20代未経験から転職する以上、企業側からは「早期で退職しているから、今回もすぐにやめてしまうのではないか」と思われてしまいます。
だからこそ、自分がなぜ介護業界に入りたいのかという目的や、転職後のキャリアイメージを明確にしておくことが不可欠です。
転職するときに譲れない条件など、優先順位をつけておくことで、希望の条件に近い求人を探しやすくなります。
希望の条件がすべてそろわないと転職したくないと思う方もいますが、それだと求人が見つかる可能性が下がるので、注意が必要です。
施設見学をして現場の雰囲気を確かめる
気になる企業があれば積極的に職場見学することがおすすめです。
求人や採用担当者・現場担当者の意見だけでは把握できない現場の雰囲気を感じ取ることができるためです。
ご利用者の状況や介護職員の人数、年齢層などを知ることで、イメージのギャップを埋められます。
職場見学は電話やメールでの予約が可能です。転職サイトを利用する際は、エージェントの担当者に依頼することで、日程を調整してもらえます。
職場見学をして希望条件が変わることもあるので、積極的に活用しましょう。
複数の会社を比較して決める
転職活動をするときは、複数の求人に応募して並行しながら進めていくのがおすすめです。
自分自身が持っている転職の軸と照らし合わせていくことで、その企業が自分とマッチしているかを分析できます。
具体的には、勤務時間や月収(各種手当)就業場所など、いろいろな観点から分析をしていくことで、ミスマッチを減らすことにつながります。
転職エージェントを利用しているときは、エージェントの担当者に相談したり、身近に介護業界で働いている人に質問していきながら、比較して決めていきましょう。
以下、未経験で介護転職を目指す方におすすめの転職エージェント・転職サイトを3つ厳選紹介します。
カイゴジョブ|介護業界特化の大手エージェント
東証一部上場のSMS社が運営するカイゴジョブ。電話サポートも受けられます。
正社員求人のみで約36,721件掲載されており、企業の条件の求人が見つかりやすいでしょう。
また、スカウト機能もあるため、効率的な転職活動ができる点も魅力的です。
かいご畑(介護求人専門サイト)
資格なし・未経験から介護士の就職を目指したい方におすすめの転職サイト。
働きながら0円で介護資格が取れるというキャリアアップ応援制度も用意されているので、チェックしてみてください。
定価13.5万円の研修が0円で受けられ、資格を取得することでスキルアップ・待遇面も良くなるでしょう。
ジョブメドレー|介護求人豊富なスカウト転職サイト
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介護職は20代未経験でもチャンスが多い
今回は、20代未経験で介護職に転職するためのポイントや介護職の特徴をご紹介しました。
介護業界はまだ発展途上の業界ですが、処遇改善や職場環境の見直しが進んでいます。
今後ますます需要が高まっていくため、介護業界での経験は重宝されます。
20代からスキルアップや資格取得をしていき、理想のキャリアを実現していきましょう。